2011年12月30日金曜日

2011



いよいよ今年もあと二日となりました。
一年を振り返ってみるといろんなことがありすぎて、本当にあっという間の一年でした。

3月11日の震災は、自分にとっては大きすぎる出来事でした。
ふるさとの町は今だあの日のまま、そこにあります。

人がいない場所でも季節は冬から春、夏、秋を経てまた冬を迎えて、時間はどんどん流れていきます。
自分の心の中が外の時間に追いつけなくていろいろと落ち込んだり、ふさぎ込んだりすることが多かった年でしたが、その分スピードが落ちた自分の心の中をよく見つめることができました。
いろんなことを感じ、考えたことを、来年は少しでも実行に移していけるようにしたいと思います。

たくさんの方々に親切にしていただいたおかげで、場所は変わりましたが去年と同じように家族で年末年始を過ごせることがとても幸せです。
幸せって目に見えないものなので、ひとそれぞれの色やかたちをしているのだと思います。
2011年はみんなそれぞれが自分にとっての幸せの色やかたちを描き直して再確認したのかもしれません。

2012年が良い年になりますように。

2011年12月22日木曜日

皆既月食の夜のおしゃべり


先日、高校時代の友人で陶芸をしている友人の展示を見に行きました。
彼女のうつわはすごく人気があって、会期二日目に行ったのにほとんど作品は残っていませんでした。
(150点もあったらしいのに、行ったら4点しか残っていませんでした…すごい!)

たぶん会うのは3、4年ぶりくらい?彼女がまだいわきで制作をしていたときに、アトリエに遊びに行ったのが最後でした。
そのとき大学4年生で卒業が近づいていた私は、なかなか進まない卒業制作のことや卒業してからのことを考えすぎて悩んでいました。
そんな感じで迎えた夏休みのある日、彼女のアトリエに遊びに行く事になりました。
空き家を改装した作業場で、ひとりもくもくと制作をする彼女の姿はそんな私の目にただただまぶしくうつりました。

そのとき見たうつわたちもとってもかわいかったのですが、今は更にレベルアップしてたくさんの方から愛されるようになったようです。
ほんとにかわいいので、大人気なのもうなずけます!

その夜、久しぶりに集まった高校時代の友人たちとごはんを食べに行きました。

普段全然会ってないのに、自分にとって大切な話をぽんとすることができる存在ってとてもありがたいです。
みんな今はそれぞれの場所で頑張っているけど、そのスタート地点よりももっと前の、まだ自分が何をしたいのか漠然としていた頃を一緒に笑ったり、怒ったり、泣いたり、感動したりして過ごしている。
だから話せるのかな?

ちょっと遅くなった帰り道、空を見上げると皆既月食が起きていました。
少しずつ欠けてはまた元に戻っていく月を見ながらみんなのことを思い出し、なんだか印象に残る夜となりました。

2011年12月7日水曜日

なぎの葉っぱ


ちょっと前になりますが、両親と相島芸術文化村というところに行きました。
以前本で、ここで定期的に骨董市とクラフトバザールをやっているという記事を見かけて行ってみたいな~と思っていたのです。
骨董市って、予期しないおもしろいものや、古いけど魅力的なものに出会えるから好きです。
昔京都に旅行中、ちょうど東寺の骨董市(弘法市というらしい)がやっていたので見に行ったことがありますが、宝探しみたいですごく楽しかったことがありました。

たまたま両親も一緒に行ってくれるということで、車で手賀沼を越えて我孫子へ。
なんだか楽しそうな雰囲気のひとだかりの中へ入っていきました。

ここは手賀沼を干拓した井上家という一家の邸宅がそのまま保存&地域の活性化に利用されているということで、古いお屋敷の中では骨董市の他にもいろいろ催しが開催されていました。
わくわくしながら車を降りて歩いていくと、入り口はいってすぐのところで男の人に声をかけられました。
その方のお話では、そこには東日本では珍しい「なぎ」という名前の木が植えられていて、その木の下をまわると良い事があるということでした。
せっかくなのでみんなでまわってみることに。父がまわってる姿がちょっと面白かったです。
帰り際になぎの葉っぱをもらえました。
この葉っぱは言い伝えによると、葉脈がなくなかなか切れないということで「縁が切れない」という縁起物なのだそう。
さっそくお財布に入れることにしました。

こういう昔からの言い伝えとか、縁起物というのはいろいろなものがあって聞いてるだけで面白いです。
なんてことのないものに意外な意味を持たせていたりして、昔の人は想像力がゆたかだったんだな~と感じます。
そういうことを楽しむ余裕も持っているし。
自分の生活の中でも、ささいなことが絵のモチーフになったりするので、こういう視点を持ち続けたいなと思います。

お財布のなかのなぎの葉、みんなに良い縁を結んでくれるといいな。

2011年11月9日水曜日

「SHINSEIDO SPROUTS vol.2-Nippon-」終了しました。


10月19日~11月4日まで青山の新生堂さんで参加させていただいたグループ展「SHINSEIDO SPROUTS vol.2-Nippon-」が無事に終了しました。
たくさんの方に見に来ていただき、どうもありがとうございました。
会期中土曜日のみ在廊していましたが、たくさんの方にお会いできてとても嬉しかったです!
ふるさとの皆さんにも震災以来初めて再会できて、3月11日から今までのお話をたくさんお聞きすることができました。
皆さんそれぞれの物語をお持ちで…。
展示会場で偶然ばったり会う場面もあったりして、再会のきっかけとなれて良かったな~と思いました。
新しい環境で過ごされる日々のなかで、今日が少し気晴らしとなってくれていたら。

この震災は、自分が絵を描く上でも大きな変化をもたらしたと思います。
今まで遠くに感じていたものが近くに感じたり、 逆に大切に感じていたものがそうでもなかった…というような。

うまく言葉にできないことを、これからも絵にしていけたら…と思います。
がんばろう。




2011年9月18日日曜日

吉祥寺


朝夕は少しずつ秋めいてきていますが、日中はまだまだ残暑が厳しいです。
最近よく自転車置き場でカマキリを見かけるようになりました。こんなところにも秋の気配が。

昨日、母と吉祥寺に出かけました。勤めている会社の催事が吉祥寺の駅で行われているので、それを一緒に見に行きました。
吉祥寺に行くのはすご〜く久しぶりです。駅に着いてみると人・人・人!
催事はとても好評のようで、皆さんとても忙しそうでした。母も人の多さに驚いていました。
たくさんの方に見ていただけて、とても嬉しいです。

吉祥寺の武蔵野市立吉祥寺美術館で、大好きな版画家の南桂子の展覧会が行われているということで、母に付き合ってもらって行ってみることにしました。
この美術館は、商店街の中にあるコピス吉祥寺という商業施設の中にあり、入館料はなんと100円でした!展示室はこじんまりとしていて、美術館というよりはギャラリーのような感じ。企画展示室のほかに、版画家の萩原英雄と浜口陽三の展示室がありました。

浜口陽三の作品は、学生のときの銅版画の講義で初めて見ました。
このとき初めてメゾチントという技法について知りました。真っ黒な色がとても手のこんだ手順で表現されていることを知り、黒のなかにこめられている想いのようなものを感じました。

南桂子は、その奥様でもあります。少女や鳥や植物などが、かろやかでやさしい印象の画面のなかに描かれていますが、悲しさや孤独感などの物語も感じさせる作品です。
今回初めて作品の現物を見ることができましたが、とても繊細な線で描かれていて、その線の集積がひとつのものを深く表現しているように見えました。
変わらないモチーフを何度もずっと描き続けたという点がとても興味深かったです。
作品の銅版、油彩やエスキースも展示されていて、作家の制作の幅を感じました。
特に、版画を始める前に描かれたという油彩画は、その後の作家の世界観を垣間見せる作品でした。
一緒に行った母も、「こまいねえ〜!」と言って線の細かさに驚いていました。
版画のやり方もちょっと説明したら、ただ作品を見るより面白く見れたようです。
楽しんでもらえたようで、良かったです。

今回生誕100年ということですが、今見てもまったく古さを感じさせない作品です。
100円で見れるなんてとってもお得だなと思いました。ミュージアムグッズもかわいかったし!
欲しかった画集も購入できて、とても良い休日を過ごせました。

次回吉祥寺に来たら、今度は井の頭公園を散歩しようねと母と話をしながら帰路についたのでした。

2011年9月11日日曜日

夏の旅2

9月になりました。
震災から半年。この半年の間に、会津の豪雨被害、紀伊半島の台風の被害と、たくさんの自然災害が起こりました。多くの方が避難生活をしいられています。
少しずつでも、着実に復興に向かいますように。また安心して暮らせますように。
自分にできることを頑張りたいです。

今年の夏ももう少しで終わりそうです。終わる前に夏の旅の二日目についてまとめておきます。 


観音崎灯台に行ってから、葉山に向かいました。
その日の夕方に葉山の森戸海岸へ。砂浜はたくさんの人で賑わっていました。
夏に海水浴場に来るのはすごく久しぶりです。大きな海の家がたくさんあって、驚きました。夜はそこで友人といろいろな話をして過ごしました。

二日目。
葉山美術館へ向かいました。
森戸海岸より少し先の、一色海岸の近くに美術館はありました。
そこでとてもびっくりする出来事がありました。
美術館を出て道を歩いているとき、学生の頃銅版画を教えていただいた先生のお宅が葉山にあることを思い出し、ちょうどその先生の話を友人にしていたら、なんとその先生が目の前を通っていったのです!
あまりの偶然にびっくりして先生には話しかけられませんでしたが、驚きました…
葉山は海も山もすぐ近くにあって、とても素敵な町でした。
こんなところにアトリエをもって制作している先生がうらやましいです。

アトリエといえば、その後向かった日本画家の山口蓬春の記念館で見たアトリエは本当に素敵でした。大きな窓ガラスから葉山の風景や、いろいろな庭の植物を眺めることができます。



葉山を後にして、最後は鎌倉へ向かいました。
鎌倉の大仏様と、長谷寺へ参拝しました。
長谷寺の観音様の前には東日本大震災で被災された方を供養する札がたっていました。
いろんな想いをこめて祈ります。


写真は長谷寺からの由比ケ浜方面の風景です。
あじさいの季節にも来てみたいです。

帰りの電車の中ではぐっすり寝てしまいました。
今回私の行きたいところに合わせてくれた友人に感謝です。
彼女と旅行に行くのは今回が初めて。高校生のときからの付き合いですが、久しぶりにたくさん話すことができました。会話の内容がお互い大人になったな〜という感じ。高校卒業して10年も経つんですもんね。

旅行はやっぱり楽しいです。最近出不精気味だったので、これを機にちょこちょこ出かけるようにしたいなと思いました。
やりたいことはすぐやらないと。

2011年8月20日土曜日

夏の旅1


昨日の雨からいっきに涼しくなりました。夕方には秋の虫も鳴いていて、少しずつ秋の気配がしてきました。

今年のお盆は生まれて初めて福島の実家以外で過ごすことになりました。
ずっと家にいても…ということで、高校時代の友人と一泊で三浦半島へ旅行に行きました。前から横須賀にある横須賀美術館に行ってみたかったのです。
横須賀駅からバスで30分くらいの、海の目の前に美術館はありました。
建物がガラスに覆われていてとても面白い造りです。中に入ってみたら、壁に大きな丸い穴が開いていてそこから外の光を差し込ませたり、大きな吹き抜けの空間があったりして、とても開放的でした。
展示されている作品も、日本の近代洋画が多くゆっくり楽しめました。
この美術館には木版画家の清宮質文のコレクションがあるそうなので、それらの作品が展示されるときまた来てみたいです。


美術館の屋上から、隣の森に道が続いていたので行ってみることに。
なんとなく歩いていたら、古いレンガでできた建物の跡や、錆びた扉など何か物々しい雰囲気になってきました。
そこは三軒家園地というところで、戦時中に砲台や爆薬庫があった場所でした。何の予習もせずそこへ行ったので少しびっくり。ここは歴史的にそういう場所だったんですね。今では自然に囲まれたとても穏やかな場所なので、信じられません。
あまり手入れされていないせいか、雑草が生い茂っていました。たくさんの蝉の声が頭の上から降ってきます。福島の夏を思い出しました。


そこからさらに観音崎灯台へ。途中海の家でごはんを食べました。観音崎の海は波が穏やかで、海水浴のお客さんもそんなに多くなく、のんびりできそうなところでした。
灯台からの眺望はとてもすばらしく、千葉県の富津市が見えました。海の家のおじさんのお話だと、向こう岸まで6キロしかないそうです。
たくさんのタンカーや大きな貨物船が通っていくさまが見えました。海は広いな〜。

横須賀には初めて来ましたが、自然が豊かで素敵なところでした。
夏以外の季節にも行ってみたいです。


2011年8月7日日曜日

緑のカーテン

あっという間に8月になってしまいました。
ここ数日は涼しい日が続いていましたが、今週末は久しぶりに暑いです。
気持ちのいい青空に蝉の声も聞こえてきて、とても夏らしい一日。

私は8月生まれなので、夏は好きです。特にお盆を過ぎたころ、ちょっと秋の気配が少しずつ感じられるくらいの時期が好きです。晩夏と呼ぶ時期でしょうか。今年もそろそろその季節がくるので、毎日外を歩くのが楽しくなってきそうです。

写真は両親がお借りしているお家の、緑のカーテンの写真です。
4月に父が植えたゴーヤがこんなに大きくなりました!
見た目にも涼しげだし、きれいです。こういう暑さ対策はなんだか気持ちもクールダウンさせてくれていいですね。
やっぱり自然の色やかたちには癒しのパワーがあります。

両親が福島に一時帰宅して山登りの道具を持って来れたので、もう少し涼しくなったら一緒に山に行ってたくさんの緑に囲まれたいな〜と思います。







2011年7月31日日曜日

「現代美術期待の新星5人展」終了しました。


7月25日まで行われました、松山でのグループ展が終了しました。
展示を見に来てくださいました皆様、どうもありがとうございました。

初日に四国には台風が接近していましたため心配していましたが、無事に会期を終えられてよかったです。
松山での展示は2回目で、今回は現地に行ってみたいな〜と思っていたのですが、残念ながら予定が合わず…。昨年の夏に友人を訪ねて小豆島に旅行に行きましたが、とってものんびりした場所で、四国にも行ってみたいなと思っていたのですが。
また機会があれば次回こそ行きたいと思います!

2011年6月18日土曜日

父の日

明日は父の日です。去年は父にゴム長靴をプレゼントしました。
父は仕事を退職してから、以前からやっていた田んぼや畑の農作業を本格的にやり始めたので、使ってもらえるかなと思ったのです。
毎年夏になると採りきれないくらいの沢山の野菜がなり、秋になるとお米ができました。
実家に住んでいる頃は、家の周りにある田んぼに水がはって大きな鏡のようになり、そこに夜空が映る景色や、稲が大きくなりあたり一面が緑に染まる景色を楽しみに見ていました。

今、避難先でお借りしている家にも小さな庭があり、両親が4月に越して来てから種をまいた野菜たちがぐんぐん成長しています。何もなかった庭があっという間に緑でいっぱいになり、実をつけるまでになりました。そんな庭を見て、植物の生命力を感じるとともに、父と母のたくましさも改めて感じました。
どんな土でもしっかり根をはってのびていく、そういう強さです。

今年は農作業の代わりにウォーキングが日課になった父に、帽子をプレゼントしたいと思います。

2011年5月23日月曜日

ともだち


先日小さい頃からの親友で、今は役者をしている友人の舞台を見に行きました。
福島から関東に避難して来ている両親と一緒に。両親と下北沢に行くなんてとても不思議な感じがしました。

何度か友人の舞台を見ていますが、見るたびにレベルアップしている感じがして、すごいな〜といつも感じます。
今回の舞台も、すごく素敵でした!
いつも思うのですが、ふだん普通に電話で話している友人が、舞台の上に立つとその世界のひとにしか見えなくなるから演劇って面白いです。物語の世界に連れて行ってくれるのが役者さんの力ですね。
終演後、友人と少しだけ話す事も出来て、両親も嬉しそうでよかった。友人のご両親も避難をしていて、今回は見に来れなかったそう。
きっといろんな想いをこめて演じたんだろうな…。

こんな時期に集中するのは大変だったろうけれど、立派に舞台に立った友人は本当に輝いていて、すごくお芝居が好きなんだなと思いました。
たくさんエネルギーもらいました!
いつも演劇を見て劇場を出るときに、自分の現実に戻った〜と思うのですが、今回はより強くそう思いました。自分の現実がんばらなきゃ。

2011年5月5日木曜日

「増田有美展」終了しました。

4月28日にShonandai MY Galleryでの展示が終了しました。
作品をご覧いただいた皆様をはじめ、ギャラリーの皆様、家族、友人、多くの方々のご協力おかげで無事に展示を開催することができました。
本当にどうもありがとうございました。

3月11日の震災のあったときからいろいろなことがありました。
こうしている今現在も私の故郷の町は、とても困難な状況の中にあります。

日常を送れることがいかに幸せなことか実感する日々です。
家族や友人、大切な人たちといつもの場所でいつものように笑ったりのんびりできることは、当たり前ではありませんでした。

自分は何ができるのだろう…と考えてきましたが、今は自分のやれることを精一杯がんばるしかないのかなと思います。
いつかまた故郷の町で家族や、友人たちと過ごせる日が来ると信じて、一日一日を大切にしていこうと思います。